ご 案 内
「映画館のない町に、映画がある」 三十年前、夏の「湯布院(劇)映画祭」を立ち上げた時の惹句だ。 今年、それをもじって言えば、 「役場も議会もない町に、村の暮らしがある」
「村の暮らし」があるならば、それを映像に記録しよう。 ゆふいん文化・記録映画祭の花道だ。 「高うはござりますけれど、花の御礼申し上げまあすッ」
昨年はNHKの「プロジェクトX」を追って、 別府出身の楢本皓青年が 「プロジェクトY・ゆふいんafterX」を完成させた。 町の若いスターたちが雪降るスクリーンの中を走った。
そして今年 「合併を拒否する町長選挙」に惨敗した事件の記録映画が、 今、仕上げの工程に入っている。 山風の中で封切られれば、 追悼の気分が盛り上がるなぁ、と思ったときに、 初日作品の主人公タカダ・ワタルさん急死の報せ。 何ということか。 交流会では町の青年たちが「マイ・ブルーヘブン」を演奏するという。
その後の展開はどうなるのか。 「科学映画の前夜」を離陸したカメラは、 チェルノブイリと済州島を飛翔して、九州・水俣に着地し、 土本典昭監督の腕にしっかりと抱きとめられた。 有明の海の底に深々と鎮もっている厖大なモノノケは、 人間が営み作り出したものだ。
村の内外を結び、支えあって生きてきた自治の仕組みを、 易々と捨て去ってしまった市町村合併よ、 内なるモノノケに向き合うときがきたぞ。 新しい時代が始まる。
タカダワタル的 2003年 65分 アルタミラピクチャーズ 監督/タナダユキ