PROLOGUE
序章

このページを書こうと思い、
数少ないポン友からもらった、クリスタルのロックグラスに、
500種類はあろうかというホームバーの秘蔵コレクションの中から、
(少し酔って相当ダブって見えているかも)
一昨日は、アイレイのラフロイグ
昨日は、ボルスのヤングジュネバ
今日は、ジム・ビームのライ・ウイスキー
明日は、オルメカのテキーラ・ブランコ
明後日は、ポーランドのスピリタス(これはもういけません)
と、一杯味わいながらパソコンの前に座るのだが、
結果ははなから見えています。

というわけで、ゆっくりです。ごめんなさい。がんばります。
おっとそれから、お酒は2日に1回しか
飲んでないことになってます。
そこんとこ、よろしく。

ZZZZZZZ・・・・・


FARMER'S BAR
ファーマーズ・バー

お願い 
お飲みになったお客様は、郵便振替か、銀行振込でお支払下さい。
当店は、掛売りはいたしておりません。

MENU

ONE SHOT & COCKTAIL

銘柄 分類 内容 料金
ソーテルヌ   NEW 白ワイン 「貴腐ワイン」と呼ばれる上品な甘口白ワイン。 10000
ペルノー   リキュール 幻の酒アブサンの後継者と称されるアニス酒。 800
I・W・ハーパー バーボン・ウイスキー 5つものメダルに輝くバーボンウイスキーの定番。 700
カルーア   コーヒー・リキュール コーヒー・リキュールの代名詞で、爽やかなほろ苦さ。 800
ジャック・ダニエルズ テネシー・ウイスキー 私のアメリカ、私のウイスキー。 850
タンカレー ロンドン・ドライ・ジン ジュニペア(杜松)で風味づけした、スピリッツ。 700
シャルトリューズ・ジョーヌ リキュール 清楚で刺激的な味で、リキュールの女王と呼ばれる。  900
ペルツォフカ   ウオッカ 唐辛子を漬け込んだ辛口フレーバードウオッカ。 650

A LA CARTE

品目 内容 料金
記憶喪失  NEW ここは何処?私は誰?アルコール漬けの翌日の悲惨な戦い。 8,500
アルコール依存症 命の水が悪魔の水に変わる時・・・・・・。 10,000

  ONE SHOT & COCKTAIL  

CAUTION !!

バー・ストーリーは、夢と現(うつつ)の区別もつかない、ファーマータナカの曖昧模糊とした記憶と妄想の産物であり、
実在の人物と関係があるかどうかもわかりません。


こんなところで又会うなんて、神様も悪戯好きだ。

ファーマータナカは酒に溺れていた。情報収集と称してのべつ幕なし酒場や酒売場を徘徊していた。
貴女に初めて会ったのは、私にとっては似つかわしくない、確か高級ホテルでのワインの試飲会という、お洒落で、運命的な出会いであった。

酒に限らず、嗜好というものは段々としかも末期には、過激にエスカレートしていくものだ。
例えばペペロンチーロならニンニクと唐辛子の中にパスタが少量からまっていればいいという具合に。
又例えば性愛なら鞭と縄と女王様という具合に(ちょっと違う?)。
お酒もまさしくその通りである。
ウオッカなら、96°か、唐辛子入りに行き着き、ウィスキーならヨード香バリバリのアイラに行き着き、
ブランデーなら荒削りのグラッパに行き着き、リキュールならスターアニス(八角)入りのアニス酒に行き着く。
ワインならもちろん甘くてはいけないし、えぐいタンニン臭が際立っていなけらばならないはずだった。

その会場に立つ貴女の、甘美だが上品なアロマ、気品を重ねたブーケ、高貴なのにセクシーボディ(白いドレスだったが)が
ファーマータナカをほんの一時だが、おどろおどろしい酒のタルタロス(奈落)の底から引き戻してくれたのだった。
依存や刺激ではなく、忘れかけていた憧れやときめきを運んでくれた貴女。

ソーテルヌ(白ワイン)

貴女の名前はソーテルヌ。
たが所詮身分が違う。
下層階級のファーマータナカにとっては、偶然の成せる技であり、ましてや彼女を又口でころがしたりはおろか、
二度と貴女と会うことさえないと思っていた・・・。

それから随分と時は流れ、日々の忙しさに明け暮れていた。

いきあたりばったりで始めた百姓という仕事。
自給ではなく、人が農を業とした時から始まった様々な矛盾。
例えば、温度を獲るために、過湿というとんでもないお荷物をかかえてしまった。
密閉したハウスの中は、夜間湿度はほとんど100%になってしまうのだ。
カビの類には打って付けの環境となる。

「灰色カビ病」という病気がある。
ファーマータナカは、サラダ菜とトマトを作っているのだが、そこに敢然と立ち塞がっていたのがこの病気の元凶、
そう、「ボトリチス・シネレア」という菌だ。
この菌は枯死した有機物の上でも容易に繁殖できる。
日常生活の中でも台所に放置しておいた野菜や果物に生えてくるカビの多くもこの菌と言われる。
したがって、トマトの株元でも侵されるなら、自慢の1株から数千個を収獲するという高度な技術もあっという間に水泡に帰してしまう。
収獲間際のサラダ菜の同じく株元が侵されれば、ビタミンたっぷりの緑の葉も出荷することができなくなる。

18世紀のヨーロッパ貴族社会の頃から珍重されている「貴腐ワイン」という白ワインがある。
葡萄の開花期後に降ったり晴れたりの天気が適当な間隔で繰り返された年に、収獲期の葡萄に灰色のカビがたくさんつくことがある。
カビのついた葡萄は、表面のワックスが溶かされて水分の蒸散が盛んになるために、干し葡萄状態となり、
果実内では酸が消費されて、糖度の高いいわゆる「貴腐葡萄」ができるのであった。
この一粒一粒を摘み取って作り出される「貴腐ワイン」がそう「ソーテルヌ」貴女だったのだ。

表と裏、善と悪、天使と悪魔、ジキルとハイド・・・.。
ああ、ソーテルヌ!! ああ、ボトリチス・シネレア!!
ファーマータナカの生存を脅かすその元凶が貴女だったとは、あまりにひどいめぐり合わせではないか。 
(2004.05.16 No.23)
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恐ろしい酒があったものだ。

1915年にフランス政府が製造販売を全面禁止した、“幻の酒アブサン”のことである。
当初は薬酒として飲まれていたという。

初心者には、とても飲める代物ではない。
歯磨き粉のようなミンティーな味わいだが、独特なアニス風味は、日本人の味覚の範疇には属さないものだ。
ところが、くせになるというか、この味の虜になってしまうのだ。

退廃的な雰囲気だった19世紀末以降、ピカソ、ロートレック、ヘミングウェイ、モネ、ヴェルレーヌ等
アブサニストと呼ばれた芸術家がたくさんいて、
そのうちの何人かはアブサンを飲みすぎて死んだといわれる。

その訳は、Woomwood(ワームウッド)とよばれる、ニガヨモギに含まれる、ツヨンというという成分だ。
常飲すると、眩暈がして、神経がおかしくなる。
中毒性があり、催淫、幻覚、錯乱、躁鬱症状となり、
挙句は狂気や自殺にかりたてられるという。

そのために製造禁止となり、その代用として作られたアニス酒の代表が、これである。

成分がアルコールに溶解しており、加水するとあら不思議、
魅惑的なグリーンが
水に溶けにくい成分の膜を作って乱反射し白濁するのは、まさに悪魔の仕業のようだ。

ペルノー(リキュール)

人生の登山口からは、山頂は見えない。
だが山頂を極めた案内人に導かれれば、登頂は成功したも同然だ。

ファーマータナカは、生きることは戦いであり、試練の修羅場を掻い潜り、
生存競争を勝ち抜いた者だけが
山頂に立つものだと思っていた。

最初からゴールに向かってレールが敷設され、それに乗れる人と乗れない人が決まっていたとは・・・・。

ファーマーズ・バーは土地柄、お客様に医学生も多い。
S氏は、美形の顔立ちで、品がよく、素面の時は口数も少ない。
当然お金にもきれいで、ご相伴にあずかれば、
ファーマータナカはご本人よりも飲んでしまう程だが、
当のS氏は涼しい顔だ。

閑散としたカウンターの椅子にはひとりの女性客が留っていた。
おあつらえのシチュエーションだ。
S氏が紳士的だが饒舌になり、ユーモアたっぷりの言葉が投げかけられるまで、
そう時間は必要としない。

仕上げにペルノーの水割りをオーダーすると、そろそろ次の店に移るシグナルだ。
女性をエスコートするそのバーは、
とある住宅地の高層マンションの上の方にあり、
会員制の秘密のバーらしく、
ファーマータナカも訪れたことはなく、
どんなカクテルが供されるかも知らない。

ペルノーの独特の残り香が、けだるく漂っている。

(そのバーが彼の自宅だったと聞いたのは、随分あとになってからだった。)
(2002.06.09)
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ウイスキーのスペルには2種類ある。
「Whisky」と「Whiskey」だ。

Japanese Whisky との出会いはいい印象ではなかった。
あの刺すような味、水で割るしかないワンパターンな飲み方。

その点、若かりし頃に出会った Bourbon Whiskey は新鮮だった。
銘柄はアーリータイムズで、今ではボトルのラベルもシックに変わってしまっているが、
黄色いラベルのオールドファッションなデザインが印象的だった。
何よりも、独特のコクと香りを持っていた。
それを、最初の頃はバーボン・バック(Buck)でよく飲んだものだ。

一説によると、Bourbon Whiskey は、開拓時代に大変珍重され、
カギのついた箱に保管されたといわれる。
カギ=Key でカギつきというわけである。

実際のところは、アイルランドで、「e]をつけ、スコットランド、日本、カナダでは「e」をつけない。
バーボンの故郷アメリカで、アイルランド流の表記になるのは、
それだけアイルランドからの移住者がバーボンウイスキーの生産に従事していたことを物語っているという。

その後、松田優作が愛飲したたというオールドクロウをはじめとして、
ワイルドターキーはもちろん、
オールドグランダッド、ヘンリーマッケンナ、ジョージディッケル(テネシーウイスキー)・・・
そしてコーンウイスキー、ライウイスキーへと
ウイスキーの世界への彷徨の序章が始まった。

その中で、5つのゴールドメダルを獲得したI・W・ハーパーは
コーンの含有量が高く、スムーズでまろやか。
熟成環境もよく、洗練された、確かな酒質だ。

I・W・ハーパー(バーボン・ウイスキー)

一方に名うてのプレイボーイ。
一方に「私、この店が大好き。だってマスターのファン(LoveやLikeでないところがミソ)だもの。」というJ嬢。
出会わなければいいのになと、遠巻きに眺めていたのだが、
やはり運命の糸は紡がれる。

J嬢は、化粧品会社の美容部員。
聡明で、存在感があり、仕事柄、その完成された化粧は、美しさを際立たせる。
有体にいえば、キャリア・ウーマンでたぶん成績もトップクラス、
若い部下からの人望も厚く、彼女らを店にひっぱってきてくれるものだから、
カウンターは華やぎ、ファーマータナカは有頂天であった。
全てが順風満帆に見えた。

その彼女が I・W・ハーパー のロックを立て続けに何杯も流し込む。
人に弱みを見せない彼女が、酔っ払い、瞳の奥が涙で潤む。

ファーマータナカは基本的には、男性女性にかかわらず、自ら客を店外に飲みに誘わないのがポリシーだ。
ただし、ラッキーママさん(小生の連れ合いで、客からこう呼ばれていた)の許可があれば、
稀に、店を離れることもある。

具体的に相談がある訳でもなく、
場末のスナックで、「東京」のデュエットを強要され、
(余談だが、カラオケはホントに苦手というか、下手くそなのである)
屋台で何杯もコップ酒をつきあうが、
期待される結末(?)も当然ない。

その日から、J嬢がプッツリと店に姿を見せなくなったのは、お察しの通りである。
(2002.05.19)
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子供の頃に、コーヒー牛乳というのがあった。(歳がバレルなー)
それを飲むと、ちょっと大人の気分になったものである。

それのカクテル版で、子供騙しかと思ったが、
ボストンで誕生したこのカクテルは、1950年代に全米で大ヒットし、
世界中で愛飲されるようになったという。
甘くて、軽いからって、馬鹿にできない歴史があるのである。

メキシコ産のアラビカ種のコーヒー豆を使い、
サトウキビ原料のスピリッツをベースに、
バニラなどの芳香成分を加味して製造されている。
ローストされたコーヒー成分のほろ苦さと濃厚な甘味が、
ベースとなるスピリッツの個性でより際立たされる。

コーヒー・リキュールとミルクとは、
シンプルだが、最高の相性だ。
ショート・カクテル・グラスにカルーアとミルクを混ざらないように二層にする、
プース・カフェ・スタイルもお洒落だ。

カルーア(コーヒー・リキュール)

結婚式でもない、無論葬式でもない。

それなのにカウンターは烏の集団を思わせる黒尽くめだ。
そして全員が右へ倣えでカルーア・ミルクを飲む。
モノトーンの洋服にモノトーンのカクテル。
ベストマッチのようだがなんだか奇妙だ。

コム・デ・ギャルソン、コムサ・デ・モード、Y’s・・・・・・
デザイナーズ・ブランドとハウスマヌカン達(死語?)。
彼女らは何処へ行ってしまったのだろう。

アルコール度数は低めで、甘口だけど、カルーア・ミルクは歴としたカクテルだ。
おつまみや料理との相性、TPOもあるだろうに。
やれやれ、
帰った後に残された灰皿は、山のようなメンソールの煙草の吸殻が燻ぶっていた。

と批判的には言ってみたものの、
刈り上げられたショートの黒髪、近寄りがたい凛とした雰囲気、年下なのに大人の女性の香り、
・・・・・幸せでした。
(2002.03.21)
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アメリカが好きだった。
一面緑の庭
白い大きな家
アメリカン・ドリーム
そしてなによりも自由。

はじめたバーは、アメリカン・ビールを沢山並べた。
バーボン・ウイスキーを沢山並べた。
連日、ビールをチェイサーに、ストレートやロックで、何十本あおったことだろう。

だが
想い焦がれたアメリカが幻想だったと気づいて
もう何年経ってしまっただろう。

でもこのウイスキーだけは、違うんだ。
まず、水だ。
テネシーのリンチバークに湧き出るライムストーンウオーターという
特別な水を使っている。
それに、蒸留したてのウイスキーを
砂糖カエデという木で作った木炭の中を通し、さらに磨き上げる
チャコール・メロウという製法なのだ。

伝統ある手作りによる磨きぬかれた味、絶妙な香り
このウイスキーがかろうじて、
私のアメリカなのだ。

ジャック・ダニエルズ(テネシー・ウイスキー)

私の友人でもあり、客でもあったM氏は、
思い出したようにやって来ては、いつもジャック・ダニエルズを飲んでいた。
職は転々と変えるのだが、ウイスキーだけは変えない。
彼の行きつけの飲み屋のママさんからの年賀状によれば、
いまだに毎年100本位キープしているそうな。
バカか!!

p.s. 彫刻家のU氏、元紳士服の○○○のT氏も頑固なジャック・ダニエルズ党であったが、
現在は何をお飲みになっているだろうか。
(2002.01.30)
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気狂い酒とか、破廉恥なリキュールとか、泥酔させるもの(これは、すこぶる正しい)と呼ばれた。
その上、単に酔っ払わせるだけでなく、極めて人体に有害と言われた。
しかしもともとは、17世紀にオランダで薬用(利尿剤)として作られたものである。

お酒の世界に足を踏み入れたら、ジンは絶対避けて通れない。
なんせ、カクテルの王様「マティニ」のベースだもの。

「ドライ・マティニ、ジンはタンカレーで。」
(キャー!!メチャメチャかっこいい。)
今はどうなんだろう?
少なくともあの頃はそうだった。
グリーンの鮮やかな色、
相反して、ずんぐりむっくりしたボトルの形。

最初は決して美味しいなんていえるしろものではないのに、
ベルモットの銘柄や量がどうだとか、
レモンピールをするとかしないとか、
結局何百杯飲んだだろう。
(しかも早く飲まないといけなかったので、相当無理しました。)

でもベースはいつもタンカレーだった。

タンカレー・スペシャル・ドライ(ロンドン・ドライ・ジン)

T氏は、いつも同じ女性を同伴して店に現れた。
タンカレーをロックで立て続けに飲み、
時折、
「マスター、マティニを一杯。」
と言ってクイーッと飲んでは又、ロックにもどるのである。
プロのバーマンはお客のプライベートを詮索しない。
だが、彼のタンカレーでのマティニが恋しい。
(2002.02.03)
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世界的には有名であり、ショットバーには定番として置いておかなければならないけど、
実際にはなかなか飲んでもらえないお酒がある。

ヨーロッパではこんなことはないはずなのに、
今日もひっそりとカウンターのバック棚であいつを待つ。

中世の錬金術の副産物として生まれた蒸留酒を蒸留する際に
薬草や香草類を添加したのが
リキュールの始まりといわれている。

100種類以上の薬草が配合されているのだが、
もちろんその製法は秘伝。
しかもいまでも、修道士が配合しているというのに。

普通は、食後酒としてオン・ザ・ロックなどで飲んでもらうのだが、
そこはこだわらなくてもよい。
繊細で、ソフトなのだが、
刺激的な味ではある。

私は、リキュールの女王と呼ばれる。

シャルトリューズ・ジョーヌ(リキュール)

F氏が、バーに現れると、覚悟を決めなければならない。
朝まで店を開けて酔いつぶれてもらうか、
店を閉めて、一緒にはしご酒を決め込むかの
どちらかだ。

東京に出て、確か美術学校に通い、
新宿あたりの居酒屋でバイトをしてたという。
ルーブルや世界遺産や小津安二郎を愛していたが、
決して権威主義者というわけではない。
議論好きで、天邪鬼で、大酔っ払いロマンチストである。

ハードな酒を飲みながら、時折
「シャトリューズ」や「シャリュトルリューズ」をオーダーするのである。
要するに呂律が回らないのである。

その日はあるバーを追い出され、
屋台を追い出され、
24時間営業のファミリーレストランのビールが
打ち止めであった。

私がその一日を棒に振ったのは言うまでもない。
F氏は、自分の部屋へ向かう階段の途中で
大いびきをかいて寝ていたのが目撃されたという。

リキュールの女王だけが、微笑んでいる。
(2002.02.11)
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ありきたりでは、満足しない。

もともとは、アルコール分は、90度前後という高濃度のスピリッツで、
これを水で割り、白樺の炭などの活性炭でろ過する。
だから本来は、ほとんど無色透明で、無味無臭なのだ。

だからカクテルのベースとして重宝されるウオッカだが、
一方にフレーバードウオッカと呼ばれるものがある。


辛口ブームが到来するずっと以前から
体をあたためたり、風邪にきいたり、胃を丈夫にするために
言わば必然的に作られたウクライナのウオッカだ。

赤唐辛子とパプリカの赤い色がなんとも幻想的だ。
瓶ごと冷凍庫でキンキンに冷やして、
ストレートで飲むのが、常道だ。
ピリリと引き締まった風味と、コクのある切れ味、
とろりとした液体は、辛味の中に、かすかな甘味さえ感じられる。

人は、「ウクライナの剣」と呼ぶ。

ペルツォフカ(ウオッカ)

博才があるという輩はいるものである。

ファーマータナカは、もともとギャンブルは好きだが、博打打ちの才能は持ちあわせていない。
というより、冷静を装っているが、腹の中は煮えたぎり、
頭に血が昇って本来は身を持ち崩すタイプなのだが、
かろうじて今日まで持ちこたえてきたといったほうがよい。

H氏は、若いのに妙に年寄臭かった。
才能はあるようだが、世の中で成功するタイプには残念ながら見えない。

暇な時を見計らってくるのだろうか、
彼と私の間には、無言のうちにバックギャモンが置かれる。
このゲームは正しく人生の縮図というより、人生そのものだ。
たった数分間のうちに、
たったふたつのサイコロで
歓喜と絶望が繰り返され、
最後は、私の息の根が毎回確実に止められる。
ファーマータナカの頭と腹の中は、唐辛子の山が燃えていた。

賭けられていたペルツォフカをH氏はいつもニヤリと笑いながら飲む。
(2002.03.02)
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  A LA CARTE  ■

記憶喪失

痛飲した日の次の日は、冷戦だが壮絶な戦場だ。
なにしろ何が原因で女王様(=妻)はご立腹なのか、
何故会長(=妻)は口をきいていただけないのか、
何故夫でもない妻でもないのか、
どうして妻だけ新しい人生を踏み出さなければならないのか、
これらの原因を白日のもとに曝さなければならない作戦が残っているのである。

そしてこの作戦の最大の障害は、ファーマータナカが、ある時点からすっぽりと記憶が途切れていることにある。

アルコールは、新皮質から大脳辺緑系へとその魔の手を伸ばしていく。
そして大脳辺緑系にある、海馬がアルコール漬けになったとき、悲劇が訪れる。
お酒を飲んだ時なくす記憶は、言わば直近の記憶だ。
要するに、昨日したりっぱな仕事の事だとか、ましてや学生の時に大モテした記憶を喪失するわけではない。
記憶には短期記憶と長期記憶というのがあって、まさしくこの短期記憶という代物をなくすのである。
(ただしファーマータナカの場合は、長期記憶をなくしていないという保証は、どこにもない)
だから、ただ単に、大酒を飲んだ事がいけなかったなか、
時間が遅くなった事がいけなかったのか、
あるいはその後にやっぱり又しても、重大な事件が勃発していたのかというところが、さっぱり判らないのである。

「そんなこと単刀直入に聞けばいいじゃない。」という甘い意見があるのは、百も承知だ。
なんとデリカシーのない言い草だろうか。
夫婦というものは、そんな生易しいものではない。
夫婦には、それぞれに壮大な歴史があり、数え切れない程の事件
(小生がお酒を飲んで起こした事件・・・これについては後日数万ページにわたって書かねばならないだろう)があるのである。

妻は行ったり来たりして私を探したらしい。
そして何故かすれ違い、行方不明になったと勘違いして、心配して家にもどってみると、
いつものようにヨレヨレでヘロヘロの私がいたそうである。
そして心配して探した事を告げた時の私の態度が、どうもよくなかったらしい。

もちろん、「記憶にございません。」
(2002.02.28 No.8))
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アルコール依存症

シアナマイド、ノックビン・・・・。
この単語をきいてピンときた人は、ドクターか、私と同類の霊長類ヒト科アルコール依存予備軍目である。

人は太古の昔から、酒を作ってきた。
ウスケボー(ウイスキーの語源)、アクアヴィテ(北欧のアクアビットの語源)、オードビー(ブランデーの語源?これはちょっと自信なし、
何分、ほとんど消えかかった記憶をもとにかいているので)等々・・・。
これらすべては確か、命の水といった意味合いの言葉なのである。
酒が百薬の長と称される所以である。
この命の水が一転悪魔の水になってしまう。

都会でも、かくれ依存症の人は結構いるのであるが、その点、田舎の方はしょっちゅう飲んでいるので、
危ない方が結構いらっしゃるし、よく見えるのである。
しかし、例えば山仕事に従事されていて、体力も使い、汗を流されているので依存症の発現がいくらか遅くなるのかもしれない。
そういうファーマータナカも、試しに本や、ウエブ上のアルコール依存症のチェックシートなどをやってみると、
ほとんど100%の確率で依存症とでてしまうので、あなたもぜひ一度お試しあれ。
アルコール依存症は、「ブレーキの壊れた車で急な坂を下っているようなもの」と比喩される。
ぐんぐん加速度がついて、結局は破滅にむかうか、あるいは、途中で飛び降りるかのどちらかなのである。
小生は飲みながら、「明日以降に飛び降りなければ。」といつも思うまじめな性格の持ち主ではある。

冒頭の単語は、抗酒剤(酒量抑制剤)とよばれるものである。
アルコール増強作用、アルデヒド脱水素酵素阻害作用があり、これを飲んでお酒を飲むと、とにかく無茶苦茶気分が悪くなるそうである。
呑ん兵衛の皆さん、この薬のお世話にならないようおたがい気をつけて飲みましょう。
(2002.01.31 No.5)
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