あなたに。



その言葉を
ただ一言いってもらいたくて
朝からそわそわしているあたし。
そんな気持ちを知ってか知らずか
あなたは机の上で夢の中。


きっと・・・覚えてないんだろうなぁ。


微動だにしないその姿を見ながら
心の中で苦笑いした。
プレゼントが欲しいわけじゃ無い。
無理矢理祝ってもらいたいわけでも無い。

「おめでとう」

その一言に
自分自身が今、生きている喜びを感じたかった。
家族ではない、あなたからの言葉で。





この日が近付くにつれ
複雑さが増していった心の中。
あたしはあなたでは無いのだから
考えても仕方ない事なのだけれど。


窓の向こうに見える青い空と
そこにぽっかり浮かぶ一つの白い雲。
巡回し過ぎる思考回路を停止して
目に映るその風景をぼんやり見ていた。









・・・どうでもいっか、そんな事。

今あたしは生きていて
大好きなあなたの眠っている姿を見ている。
それだけで十分なのかもしれない。

うん、そうだ。それで十分なんだ。

あっけなく出た答え。
一人で悶々と考えていた事が
馬鹿らしく思えてきた。


「皆さん、おはようございます〜。」

若ちゃん先生の声に
あなたはむくりと起き上がる。
まだ眠たそうな目がとても可愛い。
帰りに自己申告して
ジュースの1本でもおごってもらおうかな
そんな思いにあたしの心はわくわくしていた。




机の奥に
小さな包みが入っていた事に気が付くのは
もう少し後の事・・・。