羽ヶ崎へ向けて車は走る。
俺の心はすでに羽ヶ崎へ・・・あいつの所へ飛んでいるけど。





−−−天の川のほとりで、君と−−−





卒業してすぐに免許を取った。
地元へ戻った事に気をよくした両親が勧めてくれたのだ。
少し抵抗感もあったけど
免許を持つ、と言う事が自分にどれだけプラスになるかを考えて
割り切って教習所へと通った。
おかげで
あいつに会いに行きたい時にすぐ行ける様になったんだから
感謝はしないと・・・いけないよな。

車はじーちゃんの知り合いから安く譲って貰った。
決して新しくは無いけど
とても運転しやすくて、乗り心地もいい。
きっと大切に乗ってたんだろう。



「・・・今日あなたはどんな願い事をしますか?」
ラジオから聞こえてきたDJの声。


そうか・・・今日は7月7日。
2ヵ月ぶりに会う俺達は
ちょっとした織り姫と彦星みたいだ。
俺の彦星は納得だけどあいつの織り姫はどうなんだ・・・?
昔絵本で見た織り姫の挿絵に
あいつの顔を当てはめて、思わず吹き出した。





天の川・・・見えるかな。

フロントガラスの向こうにはあかね色に染まる空。
うん、大丈夫そうだ。
珊瑚礁の下の海岸からだったらすごく綺麗な星空が望めるだろう。
あいつの好きな
ちょっと甘めのコーヒーとチョコレートを買って行こう。
今日は星空の下、ずっと2人で居よう。




約束の場所へはあと10分くらいで到着。
あいつは遅刻魔だから絶対に俺の方が先に着くな。
ちょっと苦笑い。
でも
織り姫を待つ彦星ってのもなかなか格好いいんじゃないか?



はやる心を抑えつつ、アクセルの上の右足に少し力を入れた。