〜今月の目次〜

第6号 2006年11月29日


 

▼ 所長のミパド
 ▼ 図書館ニュース
 ▼ カンボジア・スラム
  ▼ 番外編
 ▼ スタッフインタビュー第5回
 ▼ 事務所の動き

先週までプノンペン市内を走っているバイクを見ても、バックミラーをつけているのは数台のみでした。しかし今週に入り、首都プノンペンに50万台あるといわれているバイクの半分にバックミラーが取り付けられました。それは何故でしょう?

答えは、先月プノンペン市役所が、バイクにバックミラーを取り付ける条例を出しました。先週からは、交通警察によりバックミラーをつけずに走るバイクの検挙も始まり、罰金を払わなければならなくなりました。今、ミラーが大売出し中。ただミラー代も以前と比べて倍になりました。値段は12,000リエル(約350円)まで値上がりしました。私も昨日、自分のバイクにミラーを取り付けました。

所長のミパド(ミッション、パッション、ドリーム)

「アジア子ども文化祭」の原点

今でも鮮明に思いだすのは、今から26年前のタイ・カンボジア国境の難民キャンプでの光景。難民キャンプの中には、チルドレン・センターと呼ばれる内戦で親を失った孤児たちの住む施設があった。チルドレン・センターを訪問すると10才前後の子どもたちが、カンボジアの伝統衣装を着て、カンボジアのココナッツ・ダンスを踊っていた。その子どもたちの踊っている時の生き生きとした表情からは、こちらが勝手に想像していた難民と孤児という暗さは、微塵もなかった。

そして、子どもたちの踊っている回りには、子どもたちと大人たちで一杯だった。一緒に歌を唄ったり、手拍子をしたりと笑顔が溢れていた。子どもの元気な歌声と笑顔が大人たちに生きる勇気を与えているのだと思った。難民キャンプでもここだけは、別世界だった。カンボジアを代表する伝統舞踊のアプサラ(天女)の舞を踊る子どもたちの頭の先から足の先までに、クメールの文化と魂が刻まれているように優雅な美しさが伝わってきた。これが伝統文化の持つ、民族の誇りなのだと思った。

それからSVAが、カンボジアの難民キャンプで図書館活動、印刷出版活動と共に大きな柱として、伝統文化・伝統音楽を継続して支援することになった。そして、タイのスラムや農村でも図書館活動や教育活動の中で、子どもたちの伝統舞踊・音楽活動が各地で展開されるようになった。不思議なことに、スラムや農村でも同じように、貧しさや様々な家庭背景を持つ子どもたちが、伝統舞踊を踊っている時には、輝く生き生きとした表情をしていることだった。そして、どこでも大人たちの笑顔が溢れていた。ここでも子どもたちが、どんなに苦しい環境にあっても親たちの明日の希望なのだと思った。自分の今の生活を語るときは、厳しく暗い顔だったのが、子どもの将来の話となると皆、明るい表情に変わっていった。

何よりも不思議だったのは、図書館で本を読み、踊りを習っている子どもたちから、抜群の成績の子どもたちが続出してきた。その代表的なのは、バンコクのスアンプルー・スラムのタイの東大といわれているチュラ大に主席で合格し、外交官となったオラタイさんだ。

人前で踊ることでの自信と誇りと持ち、夢と希望を子どもたちが自然と持つようになったのだと思う。「アジア子ども文化祭」は、1年に一度。それも一週間の大舞台であるが、1年365日の地道な教育や文化活動の継続の中から生まれている。26年前のカンボジア難民キャンプとの出会いから始まったSVA。遡るとアジア子ども文化祭も、カンボジアの難民キャンプでの活動が原点となっている。様々な課題を抱えながらも平和になったカンボジアで、第11回「アジア子ども文化祭」が無事に開催できたことを本当に嬉しく思います。そして、これまでご支援いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

八木沢克昌

図書館ニュース

『アプサラの舞』

「アプサラ」とは天界に住む美しい天女たちのことです。アンコールワット遺跡を訪問された方は、壁画に刻まれたアプサラの彫刻をご覧になったと思います。アンコールワットの中に1000体あるアプサラの像一体一体が違う装飾品を身につけています。

カンボジアには多くの古典舞踊が存在しました。その中でもアプサラの舞は古代から伝わる伝統的な舞で、20世紀の半ばプレア・モハ・クサットライ・ヤニーロアット・シソヴァット・コサマック・ニアリーロアット・セレイヴァッタナ女王により新しく生まれ変わりました。ただ内戦などで文化が破壊され、アプサラの舞を踊れる人たちも減ってしまいました。

次世代にアプサラの舞を伝えたい。芸術大学の教授であるナロム先生の強い思いがあり昨年シャンティ湘南様、ハンカチの木様、小杉太一様のご支援により「アプサラの舞」の本を出版することが出来ました。ナロム先生は、内戦で生き残った舞踊研究家の一人。もう年ゆえに「文化を伝えれない」というプレッシャーから声を失っていました。この「アプサラの舞」の作業を通じて希望を見出し、声も取り戻しました。天女が先生に幸運を運んできてくれたのかもしれません
本を配布して約1年。バンテイミンチェイのソピー小学校を訪れた図書館チーム。休み時間になり、子ども達が一斉に図書室に押しかけてきます。ふと目を移すと、「アプサラの舞」の本を広げながら、子ども達が柔軟体操をした後、踊りはじめているではありませんか!誰も踊りを強制しなくても、子ども達が自分の意思でアプサラの本を見ながら同じポーズをとっていっている。カンボジアの踊りを踊りたい、と子どもの心に湧いてきたのでしょうか。ナロム先生の強い思いは実を結ぼうとしています。

本は子ども達に様々な気づきと機会を提供します。その無限大のチカラを感じました。

鎌倉幸子

カンボジア・スラム

スラム移動図書館チームが強制移転地を巡回

9月より始まったスラム移動図書館活動ですが、11月10日はバサックスラムの強制移転地、アンドーン村の巡回に同行しました。アンドーン村への巡回は今回で4回目。スタッフのオートバイの後ろに乗り、プノンペン市内から西に国道4号線を30分行くとプノンペン国際空港です。その正面の道を北に入ってさらに20分、田んぼ道を抜けると1600世帯6000人が、避難小屋暮らしをしているアンドーン村に到着です。

ビニールシートや椰子の葉っぱで拭いた民家の軒先にシートを広げると、移動図書館の始まりです。待ちかねた子どもたちは早速思い思いの絵本を手にとって、広げています。字の読める子は一字一字を指で追いながら声を出して読んでいます。字の読めない子どもたちもいっしょうけんめい絵に見入っています。ひざに小さな弟を抱えた女の子が一枚一枚ページをめくっていました。



子どもたちがもう少し絵本を読みたいなと思っているうちに、スタッフによる絵本の読み聞かせが始まりました。子どもたちの人数も増え50人くらいはいるでしょうか。地べたに座って読み聞かせに見入って(聞き入って?)います。その周りに座っているおばさん、朝からほろ酔い加減のおじさんも!!! 一話終わるごとにみんなの拍手が沸き起こります。

最後はみんなの好きなカンボジアの歌です。何曲か歌って踊っているうちに、そのほろ酔い加減のおじさんが飛び入りでみんなの前で歌を披露。住民も参加して、大盛り上がりのうちに終わった今回の移動図書館活動でした。

6月6日に1000人近い武装警官によってこの村にスラムの人々が強制移転させられてからはや4ヶ月が経とうとしています。いまだに上下水道もなく、ごみ収集の公共サービスもないアンドーン村はプノンペンで一番生活環境が劣悪な場所と言われています。子どもたちの多くも学校に行くことができないでいます。スタッフも問題が大きいだけに滅入ることもありますが、子どもたちやおじさん、おばさんの笑顔から元気をもらってこの活動を続けています。

「また、来るからね。」と手を振りながら、アンドーン村を後にしました。

手束耕治

番外編

第11回「アジア子ども文化祭」開催

カンボジアの国歌が流れ、司会者が第11回「アジア子ども文化祭」の開会が宣言した。その後、主催であるSVAの代表挨拶、在カンボジア日本大使館、高橋大使の挨拶に続き、カンボジア政府を代表して、共催団体である、カンボジア教育・青年・スポーツ省を代表してコール・ペン大臣の祝辞となった。

雨期の明けた10月27日、カンボジアの首都プノンペンにあるプノンペン文化センターで「アジア子ども文化祭」が開催された。カンボジアでの開催は、昨年の12月にカンボジアの誇る世界遺産、アンコール・ワットで開催されたのに続き二回目。参加国は、主催国のカンボジア、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、そして、日本の6カ国。

「アジア子ども文化祭」は、前半の三泊四日に、カンボジアの南部のビーチリゾート、シアヌーク・ビルの海での「国際キャンプ」とクライマックスの各国の子どもたちによる各国の伝統舞踊・音楽を披露する大舞台に分かれている。

今年は首都プノンペンでの開催ということもありカンボジア政府の各省の要人、各国際機関の代表、各国大使館の代表が来賓として臨席。日本、ベトナム、タイは大使自らが最初から最後まで席を立たなかった。カンボジアではこうした各国の子どもによる国際的に催事が少ないために政府関係者やマスコミ関係者の関心も高かった。

「アジア子ども文化祭」の目的は、アジア各国の各民族の伝統文化を次代を担う子どもたちに継承すること。そして、各国の子どもたちが、顔の見える文化を中心とした交流を通してアジアの平和を築くこと。さらに、教育・文化活動を通して、様々な困難な環境にある子どもたちが、困難を克服して未来に対して夢と希望を持てるようにすること。
舞台で演じる子どもたちは、9才から15才。国によって異なるが様々な困難の中に生きる子どもたちも含まれている。内戦等で親 を亡くした孤児たちや都市のスラムの子どもたちも参加している。毎年、「アジア子ども文化祭」は、「虹と夢の舞」として、各民族の多様性と未来への夢をテーマとしている。「虹」は、7色の異なる色が見事に調和し、青空に美しい虹の橋を架ける。また、「虹」は、雨の後に青空に現れる。「夢」はいかなる環境の中にあっても生きる勇気と希望につながる。
子どもの踊りといっても伝統に裏打ちされて、民族の伝統文化と魂が衣装や踊り、音楽に込められているために大人のプロ顔負けの踊りで観衆を魅了した。子どもたちの生命力と躍動感が舞台ら溢れていた。

首都プノンペンでの「アジア子ども文化祭」を開催して、最も印象的だったのは、カンボジア内戦の終結を告げたパリ和平条約から15年が経過して、様々な課題を抱えながらもカンボジアに平和が戻り、国際的な「アジア子ども文化祭」という行事が開催されることになったことだった。

最初にカンボジアの子どもたちが、「アジア子ども文化祭」に参加出来たのは、第三回のバンコクで開催され8年前の1998年。それまでは、国内の内乱等によってカンボジアの子どもたちが国外に出ることも出来なかった。ポルポト時代に徹底的に破壊されたカンボジアの文化も見事に復興されつつあることを実感させられた。

「継続は、力なり」。11年連続しての「アジア子ども文化祭」、これまでに関った子どもたちは、千五百人を超えている。参加した子どもたちが、アジアの未来に新しい文化の根を張りどんな花を咲かれていくのかが楽しみだ。

八木沢克昌

スタッフインタビュー第回

総務調整員 ヴァン・ソペアク

1. いつSVAに入りましたか?入るきっかけは何ですか?
私は国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)が活動を始めた1992年から活動が終わる1993年12月までUNTACと働きました。そこでいろいろな外国人と働く経験をできました。幸いにも、国際労働機関(ILO)でJSRC(SVAの前身)のスタッフ募集のお知らせを見ました。

書類審査とインタビューで百人ぐらいの応募者の中から選ばれ、とても嬉しかったです。当時、私は総務補佐として採用されました。1994年2月からSVAで働き始めました。

当時の、カンボジアでは人権活動に関わる団体が多かったのですが、教育事業に関わる団体は僅かでした。SVAはその僅かな団体の中のひとつ。長い内戦の後、カンボジアを復興するには教育事業と文化事業が不可欠であることを理解しました。特に、私は最初からSVAの「共に学び、共に生きる」というモットーに関心しました。

2. 今、どんな仕事をしていますか?
SVAに入団してから1年後、私が総務補佐から総務責任者に昇進しました。総務の仕事は全ての事業、つまり学校建設事業、図書館事業、文化・伝統事業、職業訓練事業、緊急支援に関わっています。現在、総務責任者として雑事の管理仕事、すなわち人材、ロジスティック、カンボジア行政、他の団体との連絡、事務所設備維持管理の仕事に中心します。

3. SVAに入って、良かったことは何ですか?
私はSVAに入って良かったと思います。他のスタッフもそうと思っていると信じています。SVAで働くのは楽しく、自分のスキルと知識をカンボジアの子ども為に活すことができます。そして、総務の仕事は事業ではないですが、各事業が目的を達成するにとても重要な仕事だと思います。SVAはカンボジアだけではなく、他の国でも教育支援活動を行っています。私はSVAのメンバーの1人であって誇りに思います。八木沢所長が言ったようにSVAが世界のオンリーワンの活動を行う団体になるように自分の仕事に全力を尽くします。SVAのスタッフであって、とても嬉しいです。

4. 仕事で大変なことはなんですか?
私は正直で柔軟性がありますのでどんな人でも、どんな分野でも仕事できます。今の仕事では特に大変な問題はありません。私は自分の責任を成り遂げる自信があります。

5. 将来の夢はなんですか?
私の夢はSVAモットーに関連します。将来SVAの事業と活動がSVAスタッフの能力と力を通してカンボジア全土に広がってほしいと思います。

6. あなたの趣味は何ですか?
余暇に、歴史、世界記録、経済についての本を読んだり、テレビを見たり、子どもと遊ぶのが好きです。

7. モットー(座右の銘)は何ですか?
「思いやりと正直」が私のモットーです。これがモットーというか分かりませんが、私の心にはそういう原則があります。

事務所の動き

  ■ 12月4日-28日 バンテイミンチェイ州全対象校(85校)活動進捗状況調査
  ■ 12月5日  日本大使館 天皇誕生日 祝賀会
  ■ 12月8日  月例コーディネーター会議
  ■ 12月11日 祝日、人権記念日の代休
  ■ 12月11日-18日 東京事務所へ出張、八木沢
  ■ 12月21日-23日 タイ事務所出張、八木沢、ヴィスナ、サーミ
  ■ 12月25日 カンボジア事務所仕事納め
  ■ 12月25日-26日 クメール語の絵本を贈る会 スタディーツアー
  ■ 12月29日 カンボジア事務所 忘年会

※ 各事業課ではデジカメ、ビデオカメラ、ノートパソコンなどが不足しています。中古でもお使いになられていないものがありましたら、是非、事務所で活用させていただきたいと思います。 寄付になる方は、東京事務所カンボジア担当の白鳥まで、ご連絡お願いいたします。
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