第1号 2006年6月23日

SVAカンボジア事務所も今年で、事務所開設して15年目となりました。SVAの会報「シャンティ」だけでは伝えきれない、SVAカンボジア事務所の各セクションの動きやカンボジアの社会の動きを皆様にメールによって今月から皆様に毎月発信することにしました。

 

編集は、国際部のカンボジア人スタッフで日本に留学経験のある日本語の会話、読書きの堪能なチェア・バルと長期ボランティア青島が務めます。皆様からの意見や感想をも歓迎いたします。

 

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今月の目次

 - 所長の「ミパド」

 - バサックスラムの子どもたちは今

 - でこぼこ道を越えて

 - スタッフの動き

 - 求むもの


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 八木沢所長の「ミパド」(ミッション・パッション・ドリーム)

SVAカンボジアNOW」の創刊に際して


   26年前にタイ・カンボジア難民のボランティア活動に参加して以来、初めてのカンボジアに所長として、前赴任国のラオスから今年2月より赴任致しました。カンボジア事務所に赴任して、まさに自分の原点に戻ったような毎日です。タイ事務所、ラオス事務所、そして、カンボジア事務所の三つ目の国となりました。現在、カンボジア人スタッフが、37人。日本人スタッフは、私を含めて3人。スタッフの大半が、使命感に燃えて、情熱と夢を持って日々の事業に関っていることを目のあたりにしてカンボジア事務所の合言葉は、独断と偏見で「ミッション」「パッション」「ドリーム」、日本語は、訳して「ミパド」。英語は、「MPD」。と致しました。
  
カンボジア人スタッフの多くが、タイ・カンボジア国境の難民キャンプでの苦難の生活を経験しています。また、ほとんどのカンボジア人スタッフが悲惨な内戦や悲惨なポルポト時代を経験しています。悲惨な内戦が二度と繰り返されない「シャンティ」(平和)な社会を創るために教育と文化を中心とした日々の活動に関っています。
 カンボジアの社会を一言で表現すると「混沌」。希望と絶望が混在しながらも不思議な活力に溢れています。カンボジア人、日本人スタッが一体となって「共に学び、共に生きる」SVAの哲学に加えて、カンボジア事務所は「ミッション」「パッション」「ドリーム」をスタッフの一人一人が、心に刻みながら、これからも活動を続けていく心算です。
 そして、SVAにしか出来ないカンボジア社会にとって、子どもたちの未来に本当に意義ある活動且つ他の社会や国境を越えて他国のモデルになるような「オンリーワン」の活動にこれからもチャレンジしていきたいと思います。
 こうした背景から八木沢担当する「SVAカンボジアNOW」のエッセイは、「ミパド」と致しました。今月からカンボジアから発信される「SVAカンボジアNOW」を是非、よろしくお願い致します。また、皆様からのご意見や感想をお待ちしています。
    


 
 バサックスラムの子どもたちは今
 〜ゴミのように捨てられたバサックスラムの人々〜

 

 SVA2005年度から支援を始めたバサックスラム(人口数千人、プノンペンで最大規模)のコミュニティースクールには幼稚園から小学3年生までのクラスに、130人ほどの子どもたちが通っていました。そのうち、約40人は週二回の伝統文化教室にも熱心に参加していた子どもたちで、昨年12月にアンコールワットで開催されたアジア子ども文化祭に出演し、すばらしいカンボジアの民族舞踊「ロバム・ネーサート(魚とりの踊り)」を披露してくれました。
しかし、今年に入り急遽移転の話が持ち上がり、第1回目53日と第2回目66日の行政による強制移転でみんな散り散りばらばらになってしまいました。最初の移転先(8ha)は市内から25キロという遠いところで、電気や水道なども引けていないので住民は反対したのですが、放火されることを恐れて移転。第2回目はなんと1000人の武装警官を導入した厳戒態勢下での強制移転でした。
 そのきっかけとなったのは第1回目の移転で間借りしていた人々(約400世帯)は移転先にも移れず、取り壊された家の跡に着の身着のままで放り出され、地べたにゴザを敷き、雨の漏る中での生活を強いられた上、NGOがテントさえも配布することを行政が禁止したため、子供たちが病気になるなど大変劣悪な生活環境の下に置かれました。我慢も限界近くなっていたころ、企業に雇われた治安ガードが住民の小屋を壊し、倒れた柱が女の子にあって気絶したのを、死んだとのうわさで住民暴動が起きました。(その女の子は伝統文化教室に来ていた子でした。)怒った数百人の人々はガードを袋叩きにし、子どもや女性も加わってスラムを覆っていたトタンのフェンスを叩き壊し、行政の出張所に火を放ちました。
再びスラムへの出入りが自由となり、最初の移転で移された人も生活ができなくてバサックに戻り始めたころ、今回の暴動でここを一掃する正当な理由ができ、掃討計画を練った行政は66日、早朝より警官隊を導入し、圧倒的な力を持って2日間でなんと1360世帯もの人々を今後は何のインフラも整っていない田んぼの真ん
中に(市内から17キロ、3ha)、ゴミのように捨て去ったのでした。行政は全世帯に2キロの米としょうゆ、400世帯にテントとポリバケツを配布しましたが、これではぜんぜん足りません。井戸は近くの村に1本しかないので、給水車が来ています。仮設トイレはなんと6つのみ。下水設備はありません。子どもたちの健康状態はさらに悪化しています。615日現在、ここに移転させられた住民は1820世帯にも上っています。しかし、行政の計画がまったく不明でNGOもどうしていいのか戸惑っています。こんな状況で仕事もない人々(市内から遠すぎる!)がいつまでここで我慢していることができるでしょうか。
 SVA53日の第1回目の強制移転の時、どさくさにまぎれて88世帯に米と魚の缶詰を配布しましたが、行政が禁止した後は病人やけが人の緊急入院支援などを行って来ました。移転地では支援対象者も膨大ですので、ほかのNGOとも協力しながら緊急救援が必要と思っています。また、今回の強制移転で最も被害を受けた子どもたちに対し、できるだけ早くSVAらしい教育・文化面の支援ができればと思っています。そして、今はばらばらとなってしまった伝統文化教室の子どもたちが再び明るい笑顔を取り戻し、今年プノンペンで開催されるアジア子ども文化祭にもう一度参加することができるようになればと思っています。

 


 

 図書館ニュース
 「でこぼこ道を越えて」

 

 

 「最近、道が驚くほどよくなったよね」カンボジアを訪問する方からそう言われることがあります。確かに5年前まで、2日がかりでたどり着いていた州にも、国道が整備されたおかげで6時間もすれば行けるようになりました。
 ただ、一歩国道を離れれば、そこはいつも通りのでこぼこ道。

  5月、6月と対象地域であるコンポントム州の65の小学校を訪問しました。雨季も始まったカンボジア。国道から横にそれた道は、赤土がぬかるんでアイスバーンのようになっています。
 「もうこれ以上は車で進めないな」スレイヴィル小学校に向かう途中、運転手が言いました。スレイヴィル小学校は森の中を通っていかなければいけません。途中道は獣道のようになります。それでもその中、スレイヴィル小学校の先生は、町中で行われたおはなし研修会に参加してくれたのです。「先生が来てくれたんだ。我々が行かないと申し訳ない」当事業課のスタッフであるチャトラーとトゥーンは進むことを決意。モトバイクタクシーも先に進めない小川や丘を越え、ヒルにも噛まれながら進んだ先にスレイヴィル小学校はありました。
 スレイヴィル小学校の図書館員は赴任したての若い先生です。「赴任してきた若い先生のために」と地域住民が学校の敷地内に建ててくれた小屋で寝泊りしています。教室不足のスレイヴィル小学校の図書館はこの先生の小屋です。「でもたくさんの子どもが一気に入ってきて(竹でできた)床が抜けちゃったこともあるんですよ」
 子ども達に大人気の、辺境地の小学校図書館。遠い場所でも、一生懸命がんばっている図書館員の先生がたくさんいます。

 


 

 スタッフの動き

 

 - 620日 シェムリアアプ 基幹労連労働セミナー80人 講演(八木沢)
 - 623日 スヴァイリエン 伝統文化セミナー 主催者代表 開会式挨拶(八木沢)
 - 628日〜30日 シハヌックヴィル SVAカンボジア事務所年次セミナー (スタッフ全員)
 - 74日〜14日 八木沢一時帰国、理事会、支援者・協力者訪問

 - 720日〜85日 日本への出張、報告会、支援者訪問(鎌倉、チェトラー)
     + 722日(土) 東京 青山ブックセンター本店

     + 723日(日) 東京 青山ブックセンター自由が丘店

     + 728日(金)  宮城・仙台 横田や、仙台文学館共催

     + 730日(日) 青森・八戸 常現寺

                                      青森・弘前 子ども文庫 

 


 

 求むもの

 

各事業課ではデジカメ、ビデオカメラ、ノートパソコンなどが不足しています。中古でもお使いになられていないものがありましたら、是非、事務所で活用させていただきたいと思います。

 


 

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★八木沢克昌所長のバンコク週報(バンコクの日本語新聞)での連載「カンボジア東西南北」がインターネットで読めます。
下記のアドレスからどうぞ。
http://www.bangkokshuho.com