えーがの、こと


「ショーシャンクの空に」

私の好きな映画なので、一番最初に感想をば。
スティーヴン・キング作品なので、知っている方も多いだろう。
映画監督がキングの本の世界に迫り、かなり忠実な創造をしていると感じられる。
前置きとなる映像のアングルにも原作への気遣いが感じられ、役者の表情よりも画面の陰影のみで心情が分かる場面が多いのが印象的だった。
人間の裏となる顔ばかりが揃い、言葉や体への暴力、卑屈さを要求する上下関係などは、かなり現実的だ。
時間を置いて、また見たいと思える映画だと思う。
「シャイニング」

恐怖ものの中では一番好きな映画。
シャイニングについて二人が語り合うシーンのアングルは最高に良かった。
カット割りや照明においても計算されつくした感が強く、山場に向かって徐々に全体の雰囲気が移行する様子だけで恐怖を誘う。
色彩においてもバランスが素晴らしく、キューブリック監督のセンスの良さが光っていると思う。
アナログ的なBGMも作品とよく合っており、舞台となるホテルに相応しい。
この映画では斧を振り回すシーンが有名だが、個人的に一番良いと思えた恐怖シーンは、タイプライターを妻が見るシーン。
あれだけで夫が壊れているのがよく分かる。演技においても主演者全てが役になりきっていると感じられた。

「キューブ」

時間を置いて何度も見ている作品。
限られた空間の中でもがく人間模様が良かった。
作品中での謎については断片的にしか分からないものの、そこは各観客の想像を広げさせて良い効果になっていると思う。
ラストへの展開に向かって、事態が刻一刻と変わるのにハラハラさせられた。

「カンパニーマン」

「キューブ」を作ったナタリ監督の作品ということで見たが、前作に比べて全体的におそまつな感じ。
素直にアクション映画を作っていた方が良かったのではないかと思えるくらい、無駄なシーンが多いと感じられた。
だいたいの構想は理解できるが「だったら、どうして?」と疑問を感じる場面が多く、見づらい印象だった。

「魚と寝る女」

主人公の女性が喘ぎ声と叫び声以外は何もしゃべらず、全体を通して他の人間の言葉も少ない。
最初の何分かは無音映画かと勘違いしそうだが、そんな音の無い画面の中、ヒジン役のソ・ジョンが醸し出す妖艶な雰囲気がなんともいえない。
スラリとした長身で歩く度、腰が少し揺れるだけで目を奪われる。
船に乗る時の動作、ブランコをこぐ時の姿勢と微かな笑み。
ヒジンの明らかな笑みを見たのはブランコをこぐ瞬間くらいで、その笑みだけで彼女が恋をしたというのが分かる。良い演技力だ。
逆にヒジンが船のトイレとなっている底板から顔を出し、恨みの篭った目でヒョンシクを見ている時は背筋がゾッとした。
言葉を発しないヒジンだけに、表情に感情を表すのは当然だろうが演技するのはかなり難しいだろうと想像できる。
こうした、瞳に力を持つ女優はとても好きだ。感情をシンクロさせる事ができて、より映画に深くはまれる。
声が出るのに誰ともしゃべらないヒジンは世間から隔離されているかのような存在で、野生で育ったと思えるような、少々乱暴な行動が多い。
しかし、女性特有の色気がそこここに漂い、彼女の動きを見ているうちに映画が終わってもいいとさえ思えた。
痛々しい場面が多いとの前評判だったが、私にとってはたいした事無かった。
ラストには多少の疑問が残り、できれば二人が船着場から離れるシーンまでで終わっていれば良かったのにと思う。
「座頭一」

北野武さんが出演される映画の中で、当たりだったなと思える作品。
エキストラに至るまで、細かい演技指導をしているのだろうと思える基本姿勢が良かった。
刀の持ち方、抜き鞘へ手をかける僅かな動き、子役の舞に至るまで、かなりの綿密さが見える。
出演者が一同に踊るシーンなどは遊び心だろうが、私としては無い方が良かったように感じる。
「バトルロワイヤル」

かなり好み。特に最初の一分間くらい。
最初に出てくる女の子の表情だけで、これからの悲惨が予想できる。
あの子役の名前がすごく気になったのは私だけ?
登場人物の演技力も申し分なく、北野武さんの演技も良かった。
監督の指示かどうか分からないが、気弱そうなジャージ服装で出てきた当初との人物像ギャップが面白く、北野さんの才能は相変わらずだと感じさせられる。
ちなみにこの作品は「バトルロワイヤル2」という続編があるが、続き物だと信じたくない出来だった。二度と見ないという言葉が感想だ。

「フィアー・ドット・コム」

設定が日本の「リング」に似た感じ。
主人公二人の演技がいまいちで、設定にも少し無理がある点が見られた。
死に至った被害者が残した謎をそのままにしていたり、ジーニーの死に関係の無い画像(観客に恐怖を与えるためのものだろうと思いますが)が多すぎる。
ネットに巣食う経緯となった部分についても、本の概念しか出てこない点が希薄すぎると感じた。
犯人を見つけて欲しいという意図がジーニーにありながらも、サイトを見た人間を殺さなければならない理由が見えない。

「シークレット・ウィンドゥ」

シザーハンズなどで有名なジョニーデップ主演の映画だけあって、演技は良かった。
ただ「シャイニング」を意識している場面などが多く、そのせいか謎についても早い時点で分かってしまう。
階段を上りタバコを取りに戻るシーンのアングルと間が印象的だった。

「女と女と井戸の中」

映画では原題と邦題が違いすぎるといったものが多いが、これもその一つ。
だが、この邦題の方が興味を惹かれる。だって、原題は「will」・・・抽象的すぎる。
最初に時間軸をずらしたシーンが出てくるが、そのシーンが短すぎるので前置きの用を成していないように感じられた。
完全に忘れた頃になって最初のシーンが登場するのには、ハッとさせられるというより呆れてしまった。
車で撥ねてしまった人間を井戸に放り込むが、その人間がやはり生きていると主張する少女と死んでいると主張する女性。
「そんなの車に死体を乗せたり、抱き上げたりした時点で分かるんじゃないの?」と思ってしまったのは私です。

「ソウ」

最近見た恐怖ものの中では面白かった。
出演者の演技も良い。狭い室内で男二人が向き合っているだけのシーンが多いのに、退屈だとは感じられなかった。
些細な場面での前置きを、シーンをずらして観客に伝える技巧も面白い。
いかにも低予算で作られたと分かる箇所は多かったが、それほど気にならない。むしろ効果的に良かったと思える点もあった。
小道具がかなり凝っていて、退廃した地下の部屋という雰囲気がよく出ていた。

「21g」

今まで見た映画の中で、一番集中力を必要としたもの。
パズルのピースをバラバラの位置からはめていくような感じの映画で、時間軸や人物背景について出てくるシーンが、かなり前後している。
全体通して台詞は少なめで、出演者の演技や表情で場面場面の心情を観客に想像させている。
映画というより、一冊の本を見たような印象だった。

「アンダーワールド」

ただのホラーものかと思ったら、アクション要素の方が強くてスピード感がある。
ストーリーとしては中の中といったところだが、ワイヤーアクションを効果的に使っている事でかなりリアルな雰囲気を感じられた。 主人公一人だけが突出してアクションが上手いのかと思っていたら、周囲に居る人間の動きもかなり良い。
コンピュータグラフィックを多用せず、メイクや小道具でリアリティを追及している姿勢も良かった。
ラストは続編を匂わせて終わっており、おそらくは次回作が出てくると思う。
「8Mile」

歌手のエミネムが主役ということで、演技はいかがなものかと思っていたが・・・意外に良い。
実際の生い立ちが絡んでいるせいか、感情を抑えながら喋る表情や音楽と共に生きていると分かる些細な仕草に心を奪われた。
思いついた歌詞を綴っているメモ用紙の書き込みなどがリアルすぎて、小道具に気を使っているのかと思っていたら当人が映画を撮っている最中に実際に書いていたらしい。
ただ、バトルをしている時の歌については、大衆向けの映画のせいか歌詞がおとなしいと感じた。
ラップのバトルはもっと相手を一蹴するような過激な言葉を使うべきだが、低年齢の子が見ていると思えば仕方ない。
しかし、DVDの映像特典で見た即興のラップバトルではエミネムの本領を発揮した過激な歌詞で、かなりワクワクして見れた。
「エアマーシャル」

・・・・・・おそらくもう見ない。
アングルを無理に揺らす必要性すら感じない。
特殊部隊の服は、いかにも新品。マットな銃は作り物。飛行機すらCG。
せめて、それが一目で分からないようにして欲しい。
「オープン・ウォーター」

・・・・・・おそらくもう見ない。
設定に無理がありすぎる。同じカメラアングルばかりで、二人が遭難している危機感が出てこない。
ラストの一分間だけは良かったが、死を前にしているというのに二人の演技が冷静すぎて一度の恐怖すら無かった。
「ミリオン・ダラー・ベイビー」

久しぶりに良いヒューマン映画を見たなぁという感じ。
ボクシングジム内でのカメラアングルが好みで、朝か夜か分からないジム内でも光源をうまく使うことで幅が出ていた。
二人が握手を交わすシーンとラスト部分のシーンでは同じ光源技術を使っており、照らし合わせることで二人の絆の深さがよく分かる。
それに比べるとボクシング試合のカメラワークが単調で試合にスピード感が無く、主人公の強さがいまいち分かりづらかった。
前半は伏線といえる話が続いているため、わりと先の展開は予想できていたのだが、主人公の渾身の演技が予想を上回っていた。
演技に定評のある人間ばかりが集まっているだけに、言葉よりも表情や仕草で演技を魅せる箇所が多い作品といえるだろう。
「マシニスト」

・・・・・・おそらくもう見ない。
タイトルと内容が結びつかない点が多い。
謎に関しても中途半端なまま終わっており、結局は主人公の一人相撲というラストに思えた。
時間の区切りについても意味の無いまま終わっており、幾度かの場面展開の時、時間軸がずれているのではないかと誤解するようなシーンも多くて見づらかった。
「チャーリーズ・エンジェル」

段階を追って考えると設定に無理があるのは分かりきっている事だが、指令がどうこうという部分を切って考えると楽しめる作品。
アクションに慣れている女性ばかりを起用しているせいか、その動きだけでも楽しめた。
私もあんな風に相手を倒してみたい(笑)
続編も一緒に見たが、最初に作った映画の方が質が高いように感じられた。
「フォー・ガットン」

恐怖ものかと思っていたらSFの要素が強かった。
夜に撮影している場面が多いせいか、画面が暗くて見づらかった。
月明かりなどを使って、もう少し光源に気を使ってくれれば宇宙人が人間を連れ去るシーンにもリアリティを感じられただろう。
ラストは予想以上にあっさり終わっていた。
「ザ・ワン」

・・・・・・おそらくもう見ない。
ジェットリー主演ということで、アクション要素が強いだろうなと思ってはいたが、予想を超える強さだった。
ストーリーに何も意味が無く、ただアクションばかりが続くのは精神的に辛い。
期待していたアクションシーンも、それほどスゴイと思えるものではなかった。
「ダニー・ザ・ドッグ」

ジェットリーの映画はもう見ないぞ!と思っていたが、好きな監督だったのでつられて見てしまった。
設定自体はよくあるもので、それほど予想を超えるような展開にはならなかったのが残念。
少し雰囲気は違うが「レオン」に似ているのも残念。
ジェットリーの演技が以前より向上していると感じたのはちょっと嬉しかった。
やはりアクションシーンが多く、ラスト間際では長すぎるとまで感じた。
主演が主演だけに仕方ないだろうが、もうすこしストーリー展開を大事にしてほしい。
「ファンタスティック・フォー」

XMENの方が、まだ良かったと思えるなー・・。
展開がちょっと早すぎて、話がチグハグしている部分も多かった。
個々の内面が演技の中に見えず、アクション性も低い。
お金をかけて撮影していると思える部分とCGとの差が大きすぎて、見づらい画面もしばしば・・・。
「モンスター」

実話に沿っての映画なだけに、女性が殺人の罪を重ねていく経緯がよく出ていた。
主演女優は役作りのために13キロもの体重を増やしていたそうだが、その体格のおかげで「不規則な生活を長くにわたって続けている女」という雰囲気がよく分かる。
ラストの電話シーンがリアルすぎて驚いたが、どうやら実際の会話を元にしていたらしい。
「宇宙戦争」

・・・・・・おそらくもう見ない。
物語の最初の方だけは割りと良かった。
しかし話が進むにつれて、ストーリーのお粗末さに眩暈がしてきた。
主人公の自己満足的なラストには全く共感できない。
「セルラー」

映画のコンセプト自体は面白いと思えるものだけに、出来の悪い箇所が目立つのが残念で仕方ない。
もう少し状況を引っ掻き回す要素を見せてくれないと、男が携帯を片手に犯罪スレスレの奔走をしている理由が無く、ただ車でのアクションを見せたいだけなのかと思える。
充電器を脅して買うくらいなら、スピーカーに接続して皆に聞かせるなりした方が警察と連絡をとれたんじゃないでしょうか・・・というのは自分ツッコミ?
「ホステージ」

主人公が特殊部隊に10年、交渉人に7年を費やしたベテランとは信じがたい。
24に出てくるジャックの方が、銃の構え方一つにしても軍人だと思えるもので、交渉人として働く場面を見てもプロの口述とは見えなかった。
ストーリー展開は前半の方が面白い。
後半になると伏線のつじつま合わせといった部分が多く見られ、少し雑な印象だった。
「奥さまは魔女」

テレビシリーズとは少し違った角度から創られたのは良かったと思う。
個人的にはサマンサが実の父親とランチをとる時、店内で魔法を使って時計の針を戻し「本当にこれきりよ」と身振りで言ったシーンが一番良かった。
サマンサの性格が、あの一瞬でよく分かる。鼻をピクピクさせる場面よりも彼女らしさを表していて好印象だった。
ただ、相手役の男性は見ていて少し辛い。
この場面で、なぜこんなセリフを?と思える部分が多く、後で映像特典を見てみたら俳優のアドリブが多用されていたそうだ。
監督は気に入ったと言っているが、私には悪印象で仕方ない。
「ハイド・アンド・シーク」

心に傷を負った子供。街中から離れた場所に住むという設定。しかも移動中の車を追う上空からのカメラアングル。
映画が始まって五分も経過していないのに、嫌な予感をヒシヒシと感じる。すでに結末が見えているような、すごく嫌な予感。
当たって欲しくないと感じる予感ほど当たるもので、子供部屋のドア部分を見た時も「シャイニング」を感じてしまってどうしようもない。もう見なくてもラストが分かってしまう。
恐怖の演出も似て非なるものが多く、エミリー以外の人間を脈絡なく殺す時点で、ラストでかくれんぼをする意味を成さない。
結末としてはDVDの特典映像に含まれている別のストーリーの方がしっくりしている。
公開版のラストを見ると、チャーリーが父親の内なるものでは無く別に存在しているかエミリーの中にいるという解釈もでき、それまでのストーリーに余計な矛盾が生まれる。
「バタフライ・エフェクト」

よくある記憶障害・喪失ものだが、その性質を利用して時間を逆行する要素が絡んでくる。
意識がブラックアウトするような話はありふれており、前後する記憶に合わせて画面展開も切り替わりが激しい場合が多い。
見ている観客が混乱するような映画もしばしば見受けられ、この映画ではその点をどう解決しながら観客に物語を理解させる技法を使っているのかを知りたくて見た。
前半は画面を文字どおりホワイトアウトして話を飛ばしているが、長い時間では無いというのが何度も展開する箇所で分かってくる。
おそらくは消えている記憶の解明について後半で明らかにするのだろうという予想通りだったが、パラレルワールドのように広がる別世界が楽しめた。
ストーリーの進め方も、短い時間内で観客に想像の余地を残しながら魅せていると感じて退屈しなかった。
ただ一つだけ難を上げるなら、時間を逆行する手立てが日記だという事で、これに対する明確な理由を述べるか別の手段にした方が良かったのではないかと思える。
特に昔の日記を見なくても、記憶を失う前の事を紙にかけばいいのではないかという不整合な疑問を残すことになるので、むしろ父親と同じ写真の方が不自然さがなくなる。
DVDの映像特典には別のラストストーリーが2話ほどあったが、公開版のラストの方がそれまでの主人公の経緯・映画の題名の両点から考えても一番合っていると感じた。
「ゴーストシップ」

幽霊船の宝を狙うという単純なストーリー。
CGを多用した話になるのだろうかと想像していたが、特殊メイクで頑張っているのが好感を持てた。
ストーリー展開はかなり予想の範疇すぎて、後半は少し退屈を感じてしまった。
個人的には最初の十分間が一番良かった。
「戦場のピアニスト」

撮影に時間をお金がかかったろうと思える程、話のスケールが大きい。
何より演技に長けた役者ばかりで、見ていて不自然さを感じない。
時代と共に暗転していく主人公の辛苦が伝わってくる無音のシーンが多く、カメラアングルも申し分なかった。
古びた廃屋で軍人に睨まれつつも、主人公がピアノを弾く場面が一番好きだった。
淡い幻想のような光源はピアノ音楽にマッチして倍音にも似た効果を生み出しており、声無き声がピアノを通して伝わってくるように感じた。
「ブレイド3」

前回のブレイド2の出来が悪いと感じたので見るのを迷っていたが、この映画で最後らしいのでとりあえず・・・。
・・・と思ったけど、やっぱり見なければ良かったかな。
ストーリーがかなり乱雑になってきた。
とにかくアクションシーンを増やしたくて、無理な展開で役者を増やしているのが嫌でも分かる。
全体を通して見た感想は一番最初の「ブレイド」だけが面白かったという言葉に尽きる。
「ハッピーエンド」

題名はハッピーエンドだが、物語の冒頭からボラが浮気している時点でハッピーエンドの結末は想像しにくい。
心中するか、三人で仲良くなるのか、原因となるボラが死ぬかという三展開を想像したが、そのうちの一つが的中。
R18指定だけあって性描写はリアルだったが、それだけという感じが残った。
「ナイト・ビジター」

脱獄の経緯を入念に追っている映像が良かった。
「ショーシャンクの空に」では人間同士のふれあいの中で伏線を引いている部分が多々あったが、この映画では完全犯罪を前提にして主人公の動きを追っている。
スタントではなく、本人がやっていると分かるカメラアングルが多いのも好印象だった。
ラストで見せる主人公の顔。鳥の声に合わせて絶望と冷笑が交互に浮かぶ演技が映えている。
多少の疑問は残るものの、ほぼ納得できるラストだった。
「ザ・チャイルド」

全体の雰囲気を統一したいためか、ずっと赤茶けた画面が続く。
影の効果を狙っている点は分かるし、その効果が良いと思える画像もあったが、あまりに緩急が無い光源に加えて場面展開が早いせいで混乱する箇所がいくつかあった。
ラストは少し尻切れのような感じで終わっているので、もう少し話の先を見せるか説明があるかすると物語を理解しやすいように思えた。
「ドッグ・ウィル」

ニコールキッドマンが出ている映画は、その内容によって彼女の演技力が左右されると思う。
「奥さまは魔女」では平坦な演技でガッカリしたのを覚えているが、この映画では彼女の持つ底強さが見れて演技に引き込まれた。
この作品は設定が変わっており、役者のパントマイムが不出来な点が多い上にナレーションがやたらと多くて映画というより舞台を見ている気分だった。
子供が遊ぶように線を引いた家が列を成す町並みが異様な感じで、なかなか目が慣れない。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラスト場面に似たような違和感を覚える。
しかしストーリーが進むにつれて違和感は薄くなり、むしろ建物などの余計な小道具が無いせいで役者の表情一つの変化に心を動かされた。
グレースが最初の被害に逢った時にカメラが徐々に離れながら町の全景を捉える部分があるのだが、その効果は見事だと感じた。そこに来て舞台演出の素晴らしさを感じさせられた。
トムの思考には多少無理があると思える事が多いが、舞台が閉鎖された町ということなので、考え方自体も環境に合わせて閉鎖的だと思えば納得できる。
一つだけ残念だと思ったのは、ラストでグレースが「借りを返さないと」と言うならば、自分が銃を握って一人ずつに報復するのが妥当だろう。ここでは人形と子沢山の伏線が生きており、良い展開だった。
「マレフィク」

前半はかなり淡々とした話が続く。
ほとんどが監獄の一室のみでストーリーが進むため、カメラアングルも自然と単調な感じがした。
「CUBE」を彷彿させるとのキャッチフレーズだったが、比べるのはやめてほしい。CUBEのようにジリジリとした閉鎖感は欠片も無かった。
4人目の囚人に関しての考察が全く無い点など、疑問に思う箇所が多すぎる。
観客の想像力に頼る場面を多用しているが、その効果は薄い。
演技やストーリーよりも、小道具である魔術の本の書き込みの方が本格的だった。
ヨグソトースなどを知っている人には、わりと納得できる呪文の書き込みが見られたと思う。
ラストは予想の範疇内ではあるが、きれいにまとめられてはいる。
「ファイナル・ディスティネーション」

パニックものかと思ったらホラー的な要素もあって楽しめた。
事故のシーンのカメラアングルも面白い。観客に見やすい位置でありながら瞬間的なショックを与える効果を狙っているのが分かる。
話の筋は推測の重ね合わせによって綴られているため、もう少し明確なあらすじがあれば良いと思えた。
主人公がなぜ予知できるのかというのが最大の疑問で、その点については何か伏線なりが欲しかった。
ラストでは時間が経過しすぎている点や主人公の容疑が晴れるのは難しいだろうという疑問が残るが、全体を通して好感の持てる場面は多かった。
「イグジステンズ」

グロいだけだね、うん。
「アロー」

事実が骨組みになっているだけあって、それほどヤボったさを感じる事無く見ることができた。
ただ、飛行機の設計・組み立てに関する技術的なシーンは少なく、主人公格のオハラが技師だったという説得力は持ちえない。
いくつかのサブになる私生活の話が随所にあったが、本筋に絡めるのならばもう少し背景を見せた方が理解しやすいように思えた。
宇宙空間より、夕日の中をアローが飛ぶシーンが良かったと思う。
「ザ・インタープリター」

ニコール・キッドマン主演のものを連続で見てみたかった。
やはり彼女は、こういった自身に理念のある役どころが似合っている。
その役が悪か善かは関係なく、生き方に理念があると観客に訴えるだけの演技ができている。
彼女が兄の死を知って泣くシーンは演技の良さに驚いた。
役者の中には涙を押し出すために何度も瞬きをする人もいるが、キッドマンは絶望したように瞳孔をピクリとも動かさずに涙を流していた。
まるで自分自身が泣いている事に気付いていないような演技が映えていた。
そして、それまで何があっても泣くことの無かった主人公が、その涙と共に夢や希望や唯一の信じられるものすらをも涙と共に流し尽くしてしまった感じがよく出ていた。
全体のカメラアングルも申し分ない。シドニー・ポラック監督は、何度かの映画制作の中で独自のアングルを確立していると思える。良いアングルばかりだった。
監督自身が出演していたが、素人くささの無い演技が良かった。
DVDにはもう一つのラストが収録されていたが、公開版の方を選んで正解だと思う。
未収録シーンも、未収録でよかったと思える場面ばかりで、監督の判断力はさすがだ。
ささやき声の明確な正体やノートの記述については謎が残るが、観客に想像させる良い材料になっていると思う。
ただ、続けてみてきたキッドマンの映画の中では、やはり「ドッグウィル」が一番印象に残る結果になった。
「ザ・ベイビー」

いろんな意味で後味の悪い映画。こういうの実は好きです。
伏線は単純だが、経緯の中に少し疑問を感じる部分が多いかな。
ずっと無言で演技していたベイビー役って大変だろうね。
「セックス・トライアングル」

アリスを監禁した後の展開が面白かった。
ただ、脅迫電話がかかる後半あたりからはストーリーが単調になってくる。
アリスが車で付け狙う構図を見せてしまったことでラストの予想が簡単になり、せっかく前半が面白いと思えた効果が薄れてしまうのが残念だった。
「新・ウィークエンド」

徐々に医者が死んでいくのだが、その過程にもう少し意味をもたせた方が良かったように思う。
人間同士の会話の中に奥深いものは感じるが、背景が見えづらいせいか感情移入する事は難しい。
登場人物の関係についても分からない点が多く、説明代わりのセリフ等が無い点は残念だった。
「ウインド・フォール」

嵐に相応しく車が不規則に回転する様子などはリアルで、勢いが増すごとに車が紙切れのように宙を浮く。
その嵐と同時進行で犯罪が行われるわけだが、その計画にはずさんな点が多くて見ていて苦しかった。
仲間すら躊躇無く撃ち殺す犯人が、捕らえた邪魔者をすぐに始末しない箇所などは疑問しか感じられず、なぶりながら殺す意図があったとしても拘束が緩すぎる。
アクション性は思っていたより高かったが、ストーリーは中の中という印象が残った。
「ブレイク・スルー」

ATFとテロの抗争を描いている中に、人間関係が複雑に絡んでいる作品。
カーターが屈強の軍人かと思えばサラリーマンのようにスーツを着てデスクワークをしていたりと、少し登場人物の背景が見えにくい。
実戦経験がさほど無さそうな女性が指揮をするなどといった点も不透明で、物語全体にもう少し組織感を持たせた方がテロとの差別化ができたと思う。
ストーリーはよくある話で、予想を裏切るような展開は無かった。
「片腕カンフー 対 空とぶギロチン」

話が何度も横道に逸れるが、割り切って見ると面白い。
古い映画のせいかワイヤーアクションは少なめで、地味な殺陣シーンが多い。
主役格の登場人物達はわりと体術が上手く(端役の人はちょっと・・)私はどちらかというと本来の接近打撃が好きなので楽しめたが、殺陣の時間がかなり長いせいか退屈するシーンも少なくはなかった。
「ペイン」

現実と幻覚の境がハッキリしない主人公の話だが、見ている方もどこまでが現実なのか釈然としない。
全体的にかなり淡々とした感じで話が進行しているせいか、山場がどこなのかがよく分からなかった。 グロリアについての謎も全てが謎のまま終わっており、ラストの画像でようやく垣間見れたという印象を残したかったのかとも思うが、それには前置きとなるシーンが少なすぎるように感じた。
「ランダム・ファイア」

軍人ものらしく、話は明快で分かりやすい。
アクションシーンが多く、野外での銃撃戦は良かったと思う。
ただ、建物や洞窟などでの銃撃戦となると、あきらかにセットだと分かる作りが気になった。
潜水艦の内部にしても重厚さが感じられず、こうこうと電灯を照らしている艦内など、普通に考えてありえない。
「ブラッド・ソング」

足に障害を持つ女子高校生と、精神病院から脱走した青年。
二人の視点がコロコロと変わって画面に展開されるため、時間軸がずれているのかと錯覚する事が多かった。
構想はだいたい分かるが、青年と全く関わりの無い女子高生が、どうして青年の犯罪を夢の中で見る事ができるのかがサッパリ分からない。
青年に追われて燐家に行くどころか、町から離れた製材所に行くところもサッパリ訳が分からない。
ラストの後味の悪さは好きな類だが、話の本質が見えづらい映画だった。
「双生児」

美術的な面が素晴らしく美しい映画だった。
貧民くつの映像が一番印象に残り、赤の使い方が映えている。眉を意図的に消すことで、物語の序盤から異様さが漂いつつある点も良い。
ストーリーはよくあるもので、二人が立場を入れ替わったことにより、アイデンティティすらも入れ替わっていく様子が面白い。
解釈しづらい点がいくつかあり、同じような場面・アングルが繰り返されていた退屈さは拭いきれない点は残念だった。
「新・悪魔の棲む家」

古い屋敷を舞台にしたもので、内容としてはよくあるもの。
見えない悪魔に弄ばれる人間の様子を撮った特撮がわりと良かった。
アングルが良かったせいか、手法は古くても雰囲気がよく出ている。
ただ、悪魔を開放する前から不思議な現象が起きていたのが、全て警告だと理解するのは難しい場面もあった。
「悪夢の破片」

夢と現実が交差するバニラスカイに似た印象。
話の展開もどこかで見たような感じで、謎ときよりは世界観の表現にいっぱいいっぱいという感じが否めない。
前半が面白く見れただけに、後半の忙しなさがもったいないように思えた。
「シカゴ」

要所要所にショーをちりばめているのが面白い。
そのショーも同じような構成ではなく、感情の抑揚が伝わってくるような多彩さを見せている。
個人的には腹話術の箇所が一番面白かった。舞台装置も良い。
踊り手のレベルが高く、とくに主人公よりミス・ケリーの踊りは本格的だった。
殺人事件から始まった物語なのに、楽しかったという印象が大きい。
「忘れじの面影」

物語のラストが始まりとなり、届いた一通の手紙によって話が進んでいく。
一歩間違えば地雷女と思える主人公なのに、少女らしいあどけなさがあるせいか憎めない。
話が独白のように進んでいくせいか、ラストに悲劇が待っているだろうとは予想できたが経過が充分楽しめた。