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国立劇場十月歌舞伎公演「京乱噂鉤爪」を多くの皆様にご観劇いただき、厚くお礼申し上げます。
お陰様で無事、終演いたしました。
今回、原案を構想し、恩田乱学と大子の二役を主演された染五郎丈には、インスピレーションを存分に羽ばたかせた脚本を書かせていただきましたこと誠に有難く存じます。
演出の九代琴松様こと明智小五郎役の幸四郎丈には昨年の「江戸宵闇妖鉤爪」に続き、脚本を高く評価していただき、また多くのことを学ばせていただきましたことは何物にも換え難いことと心よりお礼申し上げます。
悪役、陰陽師の鏑木幻斎は乱歩が描く世界を最も色濃く反映した人物で、苛められてみたくなるほど妖しく魅惑的に演じてくださった梅玉丈には、今回も大変お世話になり、感謝申し上げます。
松吉こと鶴丸実次を魅力的に演じてくださった翫雀丈、また、悲しい女隠密、綾乃を演じてくださった高麗蔵丈の国立劇場優秀賞受賞、誠におめでとうございます。
丁稚長吉役の錦成君、花がたみ役の梅丸君の国立劇場特別賞、おめでとうございます。
お二人の熱演には感動いたしました。
ご指導いただきました国立劇場制作課の皆様、ご出演くださった役者の皆様、関わってくださったスタッフの皆様、いくらお礼を申し上げても足りません。誠に有難うございました。
岩豪友樹子
==作者の思い入れネーミング逸話==
「花がたみ」
梅丸君に演じていただいた人形「花がたみ」は、名人・春岳が自らの命を吹き込んだ人形で、漢字では「花筺」と書きます。文字通り「花籠」のことで、謡曲「花筺」から命名した名前です。継体天皇が皇子として越前国に居られたとき、寵愛を受けていた「照日ノ前」は皇子が皇位を継承することになって都に上る際に形見の花籠とともに残されます。「照日ノ前」はその花籠を携え、あとを慕って京へ上り、紅葉狩りに行幸された天皇に逢い、狂人の舞いをお見せして、再びお傍に召されることになる・・・というお話。
実はその昔、上村松園さんの画集の中の「花がたみ」の絵に釘付けになって以来、この美しい名前がいつまでも心に残っていました。美しくて哀しくて、激しさを秘めた絵です。
千穐楽の日、お世話になった方からお菓子を頂きました。宿に戻って包装を開けてみたら「はながたみ」というお菓子でした。「ちょっと面白いものを見つけたので」と仰っていたのを思い出し、粋な贈り物にじーんとなりました。

「春岳」
昨年亡くなったという設定の人形師です。
明智の師匠で京に「春岳あり」と言われる名人です。
実はこれは今年三月に亡くなった父の戒名からとったものです。
舞台を観ることはかないませんでしたが、いつも応援してくれていました。
まだまだ思い入れネーミングはありますが・・・あとは「云わぬが花」か、と。
アエラ(AERA)11月2日号に姜尚中さんの「乱歩と歌舞伎 新境地を見た」と題した感想が掲載され大感激いたしました。冒頭には人間豹・恩田乱学が死ぬ直前に吐く悲痛な叫びが引用してあり、それは私にとって一番思い入れの深い台詞でした。
この世では何一つ良いことのなかった人間豹・恩田乱学は孤独な心を抱いたまま最期を迎えました。二年間、恩田乱学に関わった私の心の喪失感、虚脱感も今は相当なものです。
ですが、これからもご観劇くださった皆様への感謝の気持ちを胸に、また少しずつ前に進んでいこうと思っています。 2009年霜月
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■国立劇場大劇場■
10月歌舞伎公演 「京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)」
公演期間 2009年10月4日(日) 〜 2009年10月27日(火)
休演日 2009年10月15日(木)
開演時間 12時
※9日(金)・16日(金)・23(金)1時・7時開演の2回
京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)
― 人間豹の最期 ―
市川染五郎宙乗り相勤め申し候
市川染五郎=原案
岩豪友樹子=脚本
国立劇場文芸部=補綴
九代琴松=演出
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