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歌舞伎・劇作家 YUKIKO IWAGO

悠々人report

こゆきが出会った素晴らしき人々をご紹介します。


鶴丸礼子さん


 今回の「悠々人」は、私のお友達の服飾デザイナー、鶴丸礼子さんの登場です。
礼子さんから個展「結ふin湯布院」のご案内をいただき、丁稚を誘って秋の一日、湯布院まで足を伸ばしました。
 
 亀の井別荘の庭内にある「雪安居(せつあんご)」。
雪の結晶で世界的に有名な中谷宇吉郎氏の書斎とのこと。お茶室のような静けさのなかで人の温もりを感じることのできる隠れ家のような場所。何度も湯布院に来ていながら、私たちにとっては初めて体験する空間でした。

 「服は着る薬」をコンセプトに障害者や高齢者が着やすい衣服を作ってきた礼子さんは、もう一度「原点」に返ってみようと思ったそうです。
「やっぱり服作りが大好き。健常者、障害者と服を区別するのではなく誰もが愛用できる服を作ることが大事」だと。
 
 礼子さんにとっては14年ぶりの個展。
作品は藍染め、柿渋染め、桐箱を結ぶ真田紐をアレンジしたもの、水滴を描いたものなど、デザイン性に優れ、かつ長年にわたって愛用できる着心地にこだわったコート、シャツ、ブラウス、そしてバッグなどなど。
 「短期間に縫うわ縫うわ、朝から晩まで150着ミシンを掛け続けて手が痛くなったのよ」
 お抹茶と和菓子をいただきながら礼子さんとお話をしていると、次から次にお客様がいらっしゃって、一着一着、色や手触りを楽しみながら鏡の中の顔映りを確かめたり試着してみたり、皆さん熱心に選び始めたので、礼子さんも接客に忙しくなりました。

 礼子さんはオートクチュールの仕事に従事した後、プライベートブランド「Brabee」を立ち上げ、オリジナルの創作服を個展活動で展開してきました。
その後、障害者、高齢者の衣服の研究と開発を手がけ、障害者ファッションショーの主催、講習、講演活動などで活躍。
 また「自己導尿用ショーツ&カルソンパンツ」が2007グッドデザイン賞にノミネートされるなど、「生活が前向きに豊かになる服づくり」を目指しています。
その他、大学講師や大分市・大分県の各委員を歴任し、OBS大分放送にレギュラー出演するなど、八面六臂の活躍はとてもここには書ききれません。
 なかでも、私が興味津々なのは遠藤周作氏主催劇団樹座「オペラ蝶々夫人」(劇中劇椿姫)の全衣装を担当したという話。遠藤周作氏に半ば強制的に劇に出演させられたことを、礼子さんは初対面の時に、自慢げに教えてくれました。高校・大学時代に遠藤氏の本を熱心に読んでいた私としては、うらやましい限りです。

 礼子さんとの初対面は、数年前。NHK大分の夕方の番組にテレビエッセイというコーナーがあって、その出演者全員が参加した忘年会の席。帰りに車で送ってもらう道中は、何年来の友人の如き臆面もない話を大声で喋り合っているという、人見知りの激しい私にはあり得ないシチュエーションが展開していました。礼子さんと私は同じ干支(同い年の)だということも知りました。

礼子さんのもつ強烈なオーラと、本音を引き出すパワーはタダモノではありません。私が見るところ完璧主義者でもあります。
太っ腹な礼子さんは道でばったり会った私をお寿司屋さんに連れて行ってご馳走してくださったこともありました。(常時、携帯しているというお洒落なマイ箸を箸箱から出して、お寿司を摘んでいたことを今思い出しました)

 ともあれ、才色兼備、文武両道(?)の礼子さんは私の憧れでもあります。
パワフルに、さらに高みを目指してやまない礼子さん。とても怠け者の私と同じ干支だとは思えません。
「ねえ、爪の垢、ちょーだいよぅ」
「いいわよ、爪の垢ならここにあるわよ」
 打てば響く受け答え。
礼子さんが言えば、豪快に聞こえたりして。
礼子さん、これからの益々のご活躍を期待しております。
 

「身につける服には、もともとからだを癒す働きがあった」という礼子さんの言葉には、昔の人の知恵や生命力、服に宿る霊力さえも感じ取ることができます。
個展が終わると直ちに北海道へ。このたび国際ソロプチミスト日本財団より社会ボランティア賞を受賞。その授賞式に出席するためです。
「どの服も着てくれる人のことを想像しながら作るのよ」と微笑む礼子さん。あふれ出るアイデアの源はいったいどこにあるのでしょうか。

    

  




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