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歌舞伎・劇作家 YUKIKO IWAGO

歌舞伎KABUKI

京乱噂鉤爪




「京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)」
― 人間豹の最期 ―
市川染五郎宙乗り相勤め申し候
国立劇場大劇場  10月歌舞伎公演
公演期間 2009年10月4日(日) 〜 2009年10月27日(火)
市川染五郎=原案 岩豪友樹子=脚本 
国立劇場文芸部=補綴 九代琴松=演出

 

第一幕 プロローグ 伏見近辺
    第一場   烏丸通り・きはものや
    第二場   三条・鴨川堤
    第三場   化野・鏑木隠宅
    第四場   一条戻橋
    第五場   今出川・鴨川堤
    第六場   羅城門
第二幕 第一場   四条河原
    第二場   化野の原
    第三場   鏑木隠宅
    第四場   如意ヶ嶽の山中
    エピローグ 大文字を望む高台
(出  演)
松本 幸四郎 隠密同心・明智小五郎
中村 翫雀 松吉 実ハ 鶴丸実次
市川 高麗蔵 女隠密綾乃
松本 錦吾 きわものや甲兵衛
澤村 鐵之助 甲兵衛女房お勝
中村 歌江 妙光尼
中村 松江 同心文次
市川 染五郎 人間豹・恩田乱学 大子
中村 梅玉 陰陽師・鏑木幻斉

松本 幸太郎 鶴丸実俊
本松 錦弥 きわものや番頭 伍助
松本 錦成 きわものや丁稚 長吉
中村 梅丸 花がたみ
澤村 伊助 茶屋娘 (甲兵衛女房お勝を代役)
ほか
 

夢の形見に 謝辞にかえて


 国立劇場十月歌舞伎公演「京乱噂鉤爪」を多くの皆様にご観劇いただき、厚くお礼申し上げます。
お陰様で無事、終演いたしました。

 今回、原案を構想し、恩田乱学と大子の二役を主演された染五郎丈には、インスピレーションを存分に羽ばたかせた脚本を書かせ ていただきましたこと誠に有難く存じます。
演出の九代琴松様こと明智小五郎役の幸四郎丈には昨年の「江戸宵闇妖鉤爪」に続き、脚本を高く評価していただき、また多くのこ とを学ばせていただきましたことは何物にも換え難いことと心よりお礼申し上げます。
 悪役、陰陽師の鏑木幻斎は乱歩が描く世界を最も色濃く反映した人物で、苛められてみたくなるほど妖しく魅惑的に演じてくださ った梅玉丈には、今回も大変お世話になり、感謝申し上げます。
松吉こと鶴丸実次を魅力的に演じてくださった翫雀丈、また、悲しい女隠密、綾乃を演じてくださった高麗蔵丈の国立劇場優秀賞受 賞、誠におめでとうございます。
丁稚長吉役の錦成君、花がたみ役の梅丸君の国立劇場特別賞、おめでとうございます。
お二人の熱演には感動いたしました。
ご指導いただきました国立劇場制作課の皆様、ご出演くださった役者の皆様、関わってくださったスタッフの皆様、いくらお礼を 申し上げても足りません。誠に有難うございました。  岩豪友樹子

作者の思い入れネーミング逸話


「花がたみ」
 梅丸君に演じていただいた人形「花がたみ」は、名人・春岳が自らの命を吹き込んだ人形で、漢字では「花筺」と書きます。文字 通り「花籠」のことで、謡曲「花筺」から命名した名前です。継体天皇が皇子として越前国に居られたとき、寵愛を受けていた「照 日ノ前」は皇子が皇位を継承することになって都に上る際に形見の花籠とともに残されます。「照日ノ前」はその花籠を携え、あと を慕って京へ上り、紅葉狩りに行幸された天皇に逢い、狂人の舞いをお見せして、再びお傍に召されることになる・・・というお話

 実はその昔、上村松園さんの画集の中の「花がたみ」の絵に釘付けになって以来、この美しい名前がいつまでも心に残っていまし た。美しくて哀しくて、激しさを秘めた絵です。
 千穐楽の日、お世話になった方からお菓子を頂きました。宿に戻って包装を開けてみたら「はながたみ」というお菓子でした。「 ちょっと面白いものを見つけたので」と仰っていたのを思い出し、粋な贈り物にじーんとなりました。

「春岳」
 昨年亡くなったという設定の人形師です。明智の師匠で京に「春岳あり」と言われる名人です。
実はこれは今年三月に亡くなった父の戒名からとったものです。舞台を観ることはかないませんでしたが、いつも応援してくれていました。まだまだ思い入れネーミングはありますが・・・あとは「云わぬが花」か、と。
  


横浜 港の見える丘公園内 神奈川近代文学館 「大乱歩展」へ 2009.10.28