○ “手話”について

近年言語学の世界では、どんな言語でもその優劣は存在しないと言われています。 そうです手話はひとつの立派な言語なのです。 「手話には助詞がない」とよく言われますが、それは英語や中国語に助詞がないのと同じで 英語では語尾変化、中国語では語の位置が、日本語の助詞と同じ働きをしています。 手話では、主に手の位置関係と動きがそれにあたります。 手話は、なんら不完全なことばではないのです。ですから手話を使えば日本語と同等の内容で 何不自由なく会話が出来るのです。

でも、手話が立派な言語であるとしても、「日本語獲得の妨げになるだけだ」と教えられて来た方は不安に思うでしょう。 やはり私達の子供は、日本語の中で生きて行かねばならず日本語獲得は重要です。 では本当に、手話は日本語獲得の妨げになるのでしょうか? それが間違いだと言うことは前項の“バイリンガル教育”で示した 聞こえない両親のもとで手話で育った聞こえない子供の方が、言語力や学力が高いという調査研究で示されています。 事実は、子供が小さい内に手話を覚えた方が、日本語の獲得にも有利だと示しているのです。

私もそうだったように聞こえない子を持つ親は、手話について間違った解釈をしている人が多い様です。 手話は立派な言語です。 まずは手話への偏見を捨てて下さい。 今、日本は数年前のブームにより手話を受け入れ易い状態になっています。 逆に言えば聾学校とその親が一番受け入れていないのではないでしょうか。

将来あなたのお子さんは、決して聞こえる人にはなりません。 そして、歴史が示すように手話ということばで話す聞こえない大人になるのです。 そこで、いくら福祉が充実して来ても、大多数の聞こえる人の中で、押しつぶされない様に 必死に生きていかなければならないのです。 その時もし、あなたが手話を認めないなら、あなたはあなたのお子さんの味方になれるでしょうか? あなたが味方しないなら誰が味方してくれるのですか?


<手話については下記の本をお薦めします>

「手話の世界へ」    オリバー・サックス 著     佐野 正信 訳     晶文社 刊
これは有名な本で、私もこの本により手話の素晴らしさを知りました。 著者は神経学を学んだ臨床医であり、映画になった「レナードの朝」の原作者として有名です。 ただし、アメリカの話しであり、医者らしく難しい表現も多いので多少読みづらいかも知れません。 ですが、大変参考になる本です。
また、訳者は8才の時に失聴した聞こえない人です。 その他にも「みんなが手話で話した島」を翻訳しています。

「もうひとつの手話」    斉藤道夫 著      晶文社 刊
著者はTBSのプロデューサーで2年ほど前「報道特集」でこの本の元になる番組を作っています。 「手話の世界へ」の日本版と言えるもので、日本のろう教育の問題点をジャーナリストらしく鋭く指摘しています。

身近な所から、まず 「もうひとつの手話」を読んでみて、さらに詳しいく手話について知りたい場合は 「手話の世界へ」をお薦めします。

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